「安心食材と出会うための地産地消&通販マガジン」
その、美味しそうな味噌汁の湯気まで写った写真。
地方誌にありがちな「素朴さ」「やぼったさ」は皆無の洗練されたレイアウトと写真。
なんだ、この本は!と思って手に取ったのが「九州の食卓」との出会いです。
読み進めるうちに、「知りたかったこと」「疑問に感じていたこと」がツボにはまる、という表現でしか現わしようもないくらい、特集され、記事になっていました。
特集のタイトルは、
「アレルギーを持つこどもたちへ」「プチ断食」「「出来るだけ手作り」「自給自足ごはん」
「アレルギーを食で克服した人たち」「食べてますか?食品添加物」「ようこそ九州へ!移住家族の食卓」「ある日突然天然酵母のパンが焼きたくなった」などなど・・・思わず、手に取りたくなります。
九州にしかない食材・調味料がもっとあるのではないだろうか。
有機農業を志す人が九州に集まってきているのではないだろうか。
アレルギーと食の関係。
細川亜衣さんが熊本に移住されたと聞いたが、どんな活動をされているんだろうか。
「農園」としての魅力がある場所は。
グリーンツーリズムの楽しみかたは。
食材を生かす料理人はどこにいるの。
知りたい事が次々と特集になっていました。
私の好きな記事は「新規就農者の家計簿」です。
「実際、食べていけるのか」この不安にダイレクトに向き合った記事だと思いました。
普通、他人の家計簿の状況はなかなか聞けません。でも、それが新規就農の不安を抱える人にとっては現実的で具体的で一番知りたい事でもあると思います。
取材を受ける方のおおらかさも素敵だし、冊子の取材者という立場だから聞ける内容だと
思います。
それを「記事」として、(しかも連載!)するという企画はすごいなあ~、と感動しました。
そして、冊子を作るにあたっての姿勢を打ち出している潔さがいいなあ、と。
「九州の食卓から十の提案」
一、九州産の食材を選ぶこと
一、米中心の食事をとること
一、味噌汁を毎日飲むこと
一、旬の路地野菜、近海物の魚介類を選ぶこと
一、調味料には贅沢をすること
一、添加物の入っていない加工食品を選ぶこと
一、手作りを心掛けること
一、プランター栽培でもいいから野菜を育ててみること
一、朝ごはんはできるだけ家族全員で食べること
一、感謝の気持ちを込めて「いただきます」を口にすること
こういう事を伝えたい、それを見事に具体的に現わしている冊子だと思います。
おおいたorganic marketのやりたい事と重なります。
20年前に、「九州」という島が嫌で嫌で飛び出しました。
でも思いがけず、東日本大震災を機に帰って来て「私のふるさとは間違いなくここ」と思えるようになりました。
多少、繊細さには欠ける部分もあるけれどそれを補って余りある、豊かなエネルギーを大地から感じます。
九州の「山」「海」「田畑」の恵み、そしていろいろな人が原点に立ち返って生活を見直すために動きだしている、その動きの躍動感。
その「人」の魅力もあますところなく伝えてくれる「本」です。
「帰ってきて、よかった」そんな風に思わせてくれた本です。
2009年からのバックナンバー、全く「古くなった」ところがありません。
ご用意しました。どうぞ、手にとってご覧下さい。