2014.1.18~19 火の国九州山口有機農業の祭典+宮崎オーガニックフェスタレポート

有機農業の祭典 参加の報告

1/18 1/19に宮崎で行われた第21回「火の国九州 有機農業の祭典 九州 山口」と「宮崎オーガニックフェスタ」に行ってきました。ものすごいカルチャーショックを受けました。報告です。

 

例年別に実施されていたオーガニックフェスタと有機農業の祭典を宮崎では2日間で実施という試みをされていました。1/18は火の国九州・山口有機農業の祭典。九州各県持ち回り担当で開催される有機農業の生産者の交流会、情報交換会です。もう21年も続いています。

 

で加藤登紀子さんのコンサートも実施されて、一般の方にも広く有機農業を知ってもらおうという意図で企画されていました。

 

1/19は「宮崎オーガニックフェスタ」第二回目の実施です。オーガニックフェスタは全国で開催されるようになっています。シーガイアの芝生広場を会場にしてトークショーや子どものワークショップも含めて飲食店やそれぞれの農園の野菜・加工品の販売などが行われていました。

 

 

 

 

 

 

 

宮崎オーガニックフェスタの会場です。

ホテルの中庭の芝生広場での実施です。

 

 

 

 

広場の中央には竹のジャングルジムが!

子どもだったら絶対登るなあ。

登りたかった。

 

親子でのワークショップ

蜜蝋キャンドル作りとかもあって

親子連れが多い印象でした。

オーガニックフェスタに出店していた生産者の方の展示の創意工夫は「伝えよう」という情熱を感じましたし、小規模の農園がデザインの力を借りて個性を際立たせていました。私が「やってみたい!」と思っていたことをすでに形にしている農園の方が本当に生き生きとして素敵でした。

芝生広場ではトークショーも。

前日の有機農業の祭典のコンサートに来られていた

加藤登紀子さんも参加。

有機農業と深く関わって来た加藤さん。

「コンサート」としてこの祭典でお迎えするのは

この人しか、いないなあ思えるほど素晴らしい人選でした。

一般の方も加藤さんのコンサートを通じて

有機農業にも興味を持たれる方がいたと思います。

 

 

 

ここの麺は相当売れていました。

完売!

宮崎県綾町は町揚げて有機農業・環境保全の農業に
取り組んでいる町です。綾町のハーブ園から出店。

福祉作業所の方と一緒に農作業や加工に取り組んでいるそうです。

 

マニアックなハーブもあって楽しかった!

 

ほとんど何もかも自家製のおそばと味噌や

甘酒の加工品。

「がまごう庵」は宮崎ではとても有名なところです。

田舎暮らしの本も時代をさきがけて出版。

魅力的な奥さんがシンポジウムの司会をしてました。


お母さんたちで立ち上げたパン屋さん。

安心できる材料で。と創意工夫を続けて来られたそうです。


材料も全て書かれています。

これが普通のパン屋さんになったらいいのに。

鹿児島からの参加の種子島の生姜農園。

生姜のジャム、生姜紅茶、農園の成り立ちのパンフレット、

フェアトレードのエクアドルに材料を送って作っているジンジャーチョコレート。

 

デザインも戦略もすごかったです。


綾町の早川農苑。

ホームページが分かりやすく、

また農苑のロゴマークがもとても素敵!

 

出店が楽しみでした。


多品目で生産されています。

 

 

これこれのもロゴマーク!

なんと値札はラミネート加工して

ホワイトボードのように品目と値段の

書き換えが出来ます。

 

 

白ネギ甘かった。

美味しかったです!

 

 

ものすごくセンスの良い農園さん。

ディスプレイも値札も。

ここのアーティチョーク絶品でした。

写真が分かりづらくてすいません。

 

 


lこちらもロゴマークでブランド化。

デザインの力は大きいです。


お米も量り売り。

ひしゃく・・・。が斬新です。

 


田んぼでの農作業体験もとても

考えられたシステムで実施されています。

 

椎茸の生産者の方の

しいたけペースト。

食べ方・使い方も丁寧に説明。

デザインがかわいいと贈答品にもなることに

改めて気づきました。

 

 

 

 

椎茸のディスプレイ。
瓶に詰めるとかわいい!

 

 

椎茸のはえたままディスプレイ。
やっぱりインパクトあります。

一番感動したのは「有機農業の祭典」です。一般人も参加出来て私も好奇心から参加しました。

基調講演、シンポジウム、コンサート、種の交換会、夕食を頂きながらの交流会、夜なべ談義という進行での実施でした。

参加者は約180人。話を聞いた、出会った一人一人の言葉と姿にとても感動しました。

 

 

種の未来を考える

「種の未来を考える」がテーマでシンポジウムの基調講演は長崎で30年以上も在来種を守り伝えている岩崎さん。

 

「種を守り伝えていくことは結局人間だった。種の存在自体が人そのものの思いに繋がっている。」

 

「人参の種を採取する母体選別で、出来るだけ形、色、味のいいものだけを選んでいたら10年後に種が出来なくなった。そこで初めて気が付いた。私は種の「多様性」というものを無視していた。多様性を尊重しなければ種としての生命力を失ってしまう。人間社会と同じことが種の世界でも起こるのだ。」

 

 

在来種の糸巻大根。

オーガニックフェスタでも紹介されていました。

丁寧な説明付きです。

講演を聞きながら、ため息しか出ない程、心を揺すぶられました。

その後行われた恒例の夜なべ談義という座談会。夕食後9001200の深夜まで行われました。

テーマは「若えもんの集い」「宮崎口蹄疫の報告会」「種の交換会について」三会場の座敷に分かれての実施でした。私は是恒自然農園の是恒和恵さんと一緒に岩崎さんのお話をもっと聞いてみたいと「種の交換会」のテーマに参加しました。

 

「嫁に出すつもりで大切に育てた種を一分間で説明しろとは何事か!!」といきなりの白熱ぶり。

嵐の予感・・・。「毎年交換会に参加するが、そのあとどうのように育ったのかの報告を聞けない。むなしい。」

「おととしの長崎の祭典の時から種を誰に渡してどのような結果になったかのデータつくりを始めた」

「交換会の有り方として種を交換できる人のみが参加出来る、いわば等価交換の条件をつけたほうがいいのでは。」

「種を頂いて、その後どうなったのかとか育成、収穫も含めての報告はある程度プロ同士のやり取りが出来る夜なべ談義でじっくりやったほうがいいのでは。」

「私は新潟の豪雪地方から来ています。大豆を育てたいけれど今までどんな種を頂いてもうまく育たない。だから今年こそは、という思いで来ています。私は交換できる種を持っていないけれどそういう者にも門戸は少し開けておいてほしいです。」

 

途中、司会の方が「大分の方手を揚げて」と言われおそるおそる手を揚げる私。種のテーマの参加は私と是恒さんだけ。

「この議論は来年の大分大会につなげてもらうからそのつもりでね。」

「・・・はい、メモを取ります・・・。」私、ド素人で紛れ込んでいるだけなんですが・・・うろたえながら話を聞いていました。

 

 

シンポジウム終了後、交流会までの間に行われた
種の交換会の様子。

 

 

すごい熱気でした。

素人は遠くから見るだけ。

 

お豆腐も全て安全な素材の大豆で作られている方。

年齢を感じさせない程情熱あります。


 

 

 

シンポジウムのパネラーをされていた若手農業青年の
渡辺さん。大豆のプロジェクトも実施されてきました。

 

しゃべれるし、伝えられるし、分かりやすい。

そしてキャラクター濃い宮崎県は人材が豊富だということが

よーくわかりました。

 

是恒さんの勉強熱心な様子はすごかったです。

気合いと気迫を感じました。

 

夕食の交流会はホテルの会場でしたが、各県ごとにステージに上がっての挨拶がありました。

各県の平均の参加者は3040人。

若手の農業青年も10人以上はざらにいて、しゃべれるし、伝え方も上手だし、リーダーシップも取れる人材がキラキラしながら登場していました。その層の厚さ。魅力的な人物が男女問わず沢山いました。

新規就農の方は特に有機農業をして、なおかつ自然農法もやってみたいという方も多かったです。

 

そして50代から60代の地域の中心人物、ベテランの生産者の方、研修生を何人も抱えられるような

親方的存在の皆さん。ユーモアがあって温かくてとても素敵でした。

「新規就農して、将来はこんな素敵な人になりたい」と思えるような人物像。そういう方に巡り会えるのも

交流会の意味があると思いました。

 

実は大分から参加したのは事務局諌山さん、工藤さん、是恒自然農園の是恒さん、私の4人。

私はこの参加人数に、大分県の県民性と空気がよく現われているなあ・・・と感じました。

 

 

宮崎の実行委員の皆様。
言葉に説得力があります。情熱のある皆さんでした。

 

徹底的に裏方に回っていた井藤さんも

素晴らしいと思います。

 

 

九州、いまさらながらに濃いキャラクターが沢山です。

歌って踊れる迫力のあるマダム・・・。

たのしいなあ。

 


若手のそろう他県の皆さん・・・。

迫力ありました。

他県の、ベテランと言われる皆さんの「もっと良い方法はないか、もっと情報はないか」というよきがうえにもよきものを、という真摯に学ぶ姿勢に心打たれました。そして「有機農業で食べていける」という希望、「十分食べていけている」という自信を持っている人達。

県外の事情が違う条件の中でやっている人と交流することに何か意味があるのか、という人もいます。

でもだからこそ、大分でも出来ることはないのか、大分でも流通の上手いシステムが応用できないか

考えるヒントと知恵をもらえる場所でもあると思います。

 

交流会の檀上にあがって話す皆さんを見て、大分とは違う空気感をとても感じました。

有機農業の農業人口の圧倒的な違い、流通システムの違い(鹿児島はJAが有機野菜を扱っています)新規就農の研修制度の違い。(県の予算で大規模研修施設が作られています)

県庁所在地の大分市の中に住んでいる私は未だに有機野菜の入手に苦労しています。

 

大分の与えられた環境の中で折り合いをつけて暮らす、という一見謙虚な県民性。でももうちょっとガツガツしてどうにかしたい、と思ったいろんなことが変わるかもしれないと思いました。

 

大分で出会った有機農業の生産者の皆さんの言葉は私の中に大切なものとしていつまでも沢山残っています。本当の哲学者は畑で生まれるのかな、と思うほどです。今回もその人の人柄や心の温みが現われるような言葉にも沢山出会いました。

 

日本有機農業研究会会長の佐藤喜作氏の80代とは思えない若々しい姿でのあいさつの言葉。

「今の世の中は3だけの政治が行われています。今だけ、俺だけ、金だけ。今だけを考えたら有機農業者は未来を信じて種蒔きは出来ない、俺だけでは農作業は出来ない、そして農業者は自分の作りだす農産物を商品として見だしたら終わりです。私たちはあくまでも命ある食べ物、命をつなぐものを作り出していることを忘れたら有機農業の未来はないですよ。」

 

また60代の他県の方は

「私はこれまで20年間、有機農業の事だけを考えて生きてきました。でも今日、皆さんと知り合って

お話しを聞いて、これからは有機農業以外のことも考えないといけないなあと感じています。」

 

一緒に参加した是恒自然農園の是恒和恵さん。精力的に情熱的に交流して、新たしい情報を入手していました。是恒さんの作る大豆や小麦は本当に美味しい。これでもっとお豆腐などできないかと思っていましたが、他県で作られていることが判明!大分の是恒さんなのに!

自然農法や有機農業の農産物のおいしさや価値をわかる消費者をもっと大分でも増やしていかないと、と思いました。

 

毎年欠かさず、参加されていた是恒さん。交流会では本当に有名人でした。

でも昨年は欠席されていたので、参加したみなさんが「どうして去年来なかったの?聞きたいことが沢山あったのに。」と何人もから言われていました。去年は日程が同じだったおおいたオーガニックマーケットに参加して下さったのでした。例年のいく行事なのに申し訳なかったな、と以前もお聞きした時におわびを伝えたのですが、今回私が参加してみて是恒さんにとってこの会がどんなに大切な、年に一回の貴重な情報交換の場だったか初めて分かりました。

それを知って本当にマーケットは生産者の皆さんの応援があってこそ成り立っていることを改めて思いました。

 

一日参加してみて「そういうことだったのか」と腑に落ちること、新たに学んだことが数限りなくあります。

たった一日だけなのに。

私は農業の何も分かっていない本当の素人です。ですから余計に本物を追求してきたプロに一般の人も触れることが大事だと思いました。それがこれから「オーガニック」が流行りやファッションやビジネスのツールとして終わらない唯一の方法だと考えます。実践者の人の言葉がとてつもなく心に響きました。

 

来年は実は大分県が担当です。大分にもきっと素晴らしい恵みをもたらしてくれると思います。

出来るだけ大分の生産者の方にも、ちょっと興味がある人にも参加してもらえるような会になったらと思います。大分の素敵な人材を紹介しつつ、他県の皆さんが知恵を大分に運んでくれる場となったらいいなあ、と思っています。

 

大分での実施は来年の1/31(土)~2/1(日)実施します。

これから準備が本格的に始まります。