ぶらぼぅファーム  深瀬雅子さん

いつか、自然に囲まれた場所でいろんな企画やイベントが出来て、来た人が楽しめる拠点がほしいなあ、とずっと思っていました。

 すでに大分にそういう場所がある、というので伺ったのがぶらぼぅファームさんです。

見晴らしの良い庄の原の高台にあります。大分の町が一望出来る場所です。

 農園があり、農園で採れた野菜を使った食事を頂けるカフェもあり、貸し農園もあり、そこではいろいろなイベントが行われています。なにしろ広い場所なのでこどもも野放しで遊べる、という開放感に満ちた場所です。

映画「種まく旅人」のロケ地になった場所だというと分かる方もいると思います。

 

 

 

 

 

 

見晴らし最高です!

 

 

  Cafeではぶらぼぅファームのお野菜を使った

お料理が楽しめます。

 

 

 

 ツリーハウスのような遊具!

のぼってみたいのは親も同じだと思います・・・。

そのぶらぼぅファームの管理を担当されているのが、深瀬雅子さんです。

ご自宅は「農園てとて」(由布有機農業生産者グループのメンバーです)をご夫婦でされています。

ぶらぼぅファームでは「ぶらぼぅ作業所」のみなさんが精神的な障害や病と向き合いながら、社会復帰の訓練の場として農作業をされています。

 その作業の手順を考えてそれぞれの仕事の分担を決める、というコーディネートも深瀬さんのお仕事です。

 

「コーディネート」は簡単ではないようで、作業所のみなさんの一人ひとりの様子を見ながらするそうです。

当日の体調の観察、一緒に作業するひと同志の組み合わせを考える。また、同じく社会復帰を目指すといっても個々人の目標が違うのでそれも考慮が必要です。例えば「就職をめざす」「外出出来るようになる」「生活のリズムを取り戻す」「人と関わることを始める」など全くばらばらです。

 なお且つ、農作業は毎日同じ作業をするわけではありません。天候や農作物の様子を見ながらその日その日でも細かな計画が必要になってきます。工場の作業とは違う意味での難しさがあるようです。

 何事にも大雑把な私には無理な仕事だなあ、と驚きながら聞いていました。

でも深瀬さんは「難しいから私も出来ないんです。本当にみんなよく私に対応してくれていると思います。」と謙遜ではなくしみじみと話してくれました。

 

 

青々としたケ―ル畑

 

 

 

     広い畑が続きます。

農園はぶらぼぅカフェがある場所から少し離れた机張原にあって、車で案内して下さいました。

「少量多品目」の生産ということですが、とても広い敷地でした。この畑の計画をまかされるのは大変だと思います。

トラクターなども深瀬さんが運転しメンテナンスもするそうです。

「家の農園は夫任せだったけど、今ここでは私がなんでもしないといけないので機械も動かしています。なかなか言うことを聞いてくれるように動かすのも大変です。でも面白いですよ。ふふふ。」

 

 

旬のお野菜は大根・人参・九条ネギ・ケ―ル、珍しいものではコーラルビ―など。ひとつひとつ丁寧に説明して下さいました。

 ケ―ルは味としてはブロッコリーに近いそうで、芽キャベツの葉っぱのほうが甘く感じるとか。

私も葉をかじらせてもらいました。味はその通り!畑には深瀬さんが味見したあとの葉っぱが時々見受けられました・・・。なんだか味見しながら野菜を作るって、料理と同じだなあ、と改めて思いました。

 

 

コーラルビ―

これからだんだん赤く甘くなります・・・

 

 

 

  幼い頃にどうやってキャベツが出来るのか

 不思議だった芽キャベツ。

 実際に見て触れて感激です。

 

 

 ケールの葉っぱ

 あちらこちらに・・・。

キクイモも作られていますが、かなり生命力の強いものだそうです。今は何もない土だけの地面を掘り起こすと宝のようにざっくざっくと出てくるとか。私も何度か頂きましたが火を通すとぽこぽこした感じになるし、生・もしくは干しても面白いかりかりとした食感になり美味しいです。薬効も研究されていてデトックス効果が期待されているそうです。

研修生の方の中にはずっとかりかりと食べ続けた方もいたとか。体が自然に欲することもあるのかもしれないです。

 

 

 

これがキクイモ。

ぶらぼぅカフェでも販売されています。

 

 

 

これがキクイモ畑です。

 深瀬さんはもともと大分出身ではなく、関東で出会った旦那様と、農業をするために土地を探されたそうです。

九州はエネルギーが高い土地だと聞き、訪れた時にここだ!と思われたとか。

最初は熊本の小国の近くの玖珠で就農されたそうです。

大原野というところだったので「大原野の小さな農園」と命名したとか・・・思わずマイケル・ランドンの笑顔が思い浮かんでしまった私です。

 その時は九重・玖珠の有機農業生産者グループ「ひこばえ」さんにはいられていて「大変お世話になった」とか。

 何年かしては自分たちの家を持ちたいと狭間町に拠点を構えたそうです。名前も「農園てとて」。狭間という町が「間」という意味もあるな、ということでいろんな人と手を繋いでいきたいという思いも込めたそうです。

 

 ぶらぼぅファームとの縁は家庭菜園のワークショップを担当されたことに始まるそうです。

深瀬さんは一見、穏やか~でたおやか~で「京都にもおったなこういう美人・・・」と思わせるような風情の漂う人です。

ちょっと少女の面影があるところも魅力的。

だから私もついふらふらとイベント等でお見かけする度に積極的に話がしたいと近寄って行ったのですが、中身は相当にタフな方だと思います。

 

後ろ姿もニヒルな感じです。

こんなに細やかな仕事をして、農作業にも体力を使い、ほとんどが自家製の材料を使っての石鹸も手作りもされています。なお且つ積極的にイベントも企画・運営されて飯田高原のアートマーケットもずっと続けられています。しかも3人のお子さんのお母さん。いつ寝ているのかしら、と思うほどです。 

ちなみに深瀬さんの石鹸ですが、私がアトピーだった時にどれだけ助けられたことか。唯一、「痛くない」「しみない」石鹸でした。原料についても一つ一つ解説して下さって、「何故それを使うのか」という根拠の説明が出来る方です。

深い知識とその実践からの言葉で説明されます。

 オーガニックコスメでよくありがたがられる「カレンドラ」が「仏壇にそなえるキンレンカですよ」と教えてもらったのもなかなか衝撃でした。

 

 

 

深瀬さんの表示はかわいいです。

堆肥やカキ殻もこのとおり。

お野菜もいつも綺麗にディスプレイされています。

こういう方に畑のことを教えてもらえたら楽しいだろうな・・・と思います。

ぶらぼぅファームの「ぶらぼぅ」は喝采の「ブラボー」と大分の地場野菜の宗麟かぼちゃにに由来するそうです。

かぼちゃのことを方言で「ぼーぶら」というとか。

 今後は「大分地場野菜」も特産物として積極的に作っていく方針だそうです。京野菜や大和野菜のようにひとつのブランドとしてしかもオーガニック!というのはとてつもない財産になると思います。

 大分の気候風土に合った野菜が増えるというのは、大分に住む人にとってはもしかしたら一番体に合うものかもしれません。

 

 深瀬さんの夢は「沢山の人と力を合わせて何かをする」ことだったそうです。 

今の仕事や自宅の農園を通じて、その夢はかなえられた。と言われました。仕事がとても楽しいそうです。

 

 今後の目標としてはやはり生命力のある、食べて元気になる野菜を作って行きたいそうです。

「特にこどもや、子育て中や妊娠中の命を繋いでいく仕事をしている最中の人に食べてもらえるような野菜を作っていきたい。」

「同じ土地にある、近所の畑で同じように作っても、作った人によって野菜の味も違ってきます。どうも作った人の人柄も出るらしいです。収穫した野菜の取り扱い方一つ取ってみても違ってくる。気持ちが形になるってことはあると思います。」

 

深瀬さんは頭の回転が速くて、相手が何を言いたいのかすぐに察知して下さいます。思わず、畑の中で人生相談もしてしまう私・・・。

 

 畑という大地の上でいろんな人とゆるやかにつながりながら、歩いている深瀬さん。

私はお会いすると変な力みが取れて、とっても癒されます。深瀬さんと作業所のみなさんの合作のお野菜、食べるとほっとする味です。

 

 

 

お野菜、瑞々しいです!