175FARM+YADOKARI CAFE 日名子敦さん 優子さん

ライダーって、バイクに乗る人ね、みんなドクロマークが好き。よくTシャツに付けとるやろ。あれは、死んだらみんな一緒。顔や人種や境遇が違っても、骨になったらみんな一緒やん、という意味なの。(一部関西弁にどうしてもなってしまうことをお許し下さい・・・。)

 

 

 注:お二人とも、特に175ライダーのファンではないそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

原木栽培のしいたけです。

175FARMさんのお野菜は、808ヤマジさんで販売されていたり、イベントに参加されていた時に頂いたりして何度か食卓に上りました。

また、イベントで日名子優子さんの妹さんの足岡香織さんにもお会いして、YADOKARI CAFEのブースで温かい飲み物を頂いたことがあります。

カッコイイ(友人の方が作成したそうです)ロゴマークとか、175FARMというネーミングなど「スタイル」があるなあ、といつも思っていました。お見かけするのは優子さん、香織さんですがとっても綺麗なお二人です。

農園の主である日名子さんはどんな人なんだろう、と思っていました。

 

 

 

 

スナップエンドウと優子さん

農園に伺う前にお聞きした175FARMのコンセプトはものすごく熱いメッセージが込められていました。

「こどもたち」「次世代」「自然環境の循環」「元気」「健康」・・・。特に子ども達に対する思いがある方なんだと感じました。

 

3月、4月はお野菜の少ない端境期です。

175FARMさんも畑は点在しています。車で優子さんが案内して下さいました。市民農園の管理も一部任されているそうです。

土手の下に広がる畑には玉ねぎとニンニクと花が咲いた状態のケ―ルが。畑の隅には原木栽培のしいたけもありました。空が広くてとても見晴らしのいいところです。雲の形がゆっくりみれるなあ、と久しぶりに空を見上げ ました。

 優子さんは二人のお子さんのおかあさん。まだ授乳が必要な息子さんと7歳の娘さんと一緒に車で野菜も配達されています。またYADOKARI CAFÉはただ今改装中です。大忙しの毎日です。

でも、お話はとてもゆったりと丁寧にして下さいます。

 

 

たまねぎとにんにく

 

 

 

レタス。

マルチフィルムで草除けしても

ものすごい勢いで草は生えるそうです。

農園の主、日名子敦さんはやっぱり「お父さん!」という、頼りがいのある感じの方でした。

娘さんに「お父さん大好き!だっこして。」とえらく慕われていました。すごいなあ・・・。

 

175FARMでは、日名子さんと障害のある方で農作業をされています。

「身体障害・精神障害・知的障害全部含まれます。」そういう障害を持つ方の自立を支えようと

「さくら親父会」を立ち上げて支援しているそうですが、日名子さんもその立ち上げメンバーの一人だそうです。

 

 

 「農作業する時は常に手を出さないことがポイントです。任せる。でもそれにはいつも見ていて、変化に気づくことが大事。観察あってこそ、見守ることが出来る。」

「世の中にいらん仕事はないのと同じように、いらん人間は絶対いない。と思います。」

さくら親父会では「アラオウエ」という窯焚きの無添加せっけんを作って販売しています。やさしい肌さわりの石鹸です。「でも何度か高価な窯も失敗してダメにした。その失敗の原因をさぐることが大事。起きたことを責めても何も意味は無い。」

「子育ても野菜作りも本当に共通している。育てながら育てられている感じがする。」

 

 

 

 

もみの山です。

 日名子さんは、農業をされて9年目。

以前は市役所に勤められていたそうです。どうじても農業をしたくなって1から独学で始められたそうです。

「年収は以前の5分の1。でも生きている実感は10倍。楽しさも10倍ある。」

最初のうちは失敗もしたそうです。トマトの苗約200本を青枯れ病で枯れさせてしまったこともあったとか。

でも原因を追及して失敗は少なくなっていったそうです。

 土壌の研究にも熱心です。「わりと研究好き、菌類好き。」だとか。

病害虫の駆除も工夫して研究をしているそうです。 化学農薬を使わず、木酢液や、にんにくやトウガラシで虫を駆除したり、馬酔木と彼岸花を乾燥して煎じたものの上澄み液を散布したり。自然のものを使った農薬を考えて使っているそうです。大体、効果は1週間。虫が付く前に撒いておくのがコツだそうです。苦土石灰も肥料として使いますが、水に溶かして(混ぜて)上澄みのみを使うとか。

また、青虫が出た際にカビのようなものが体に出来て死んでいる青虫がいたら、その菌も培養してみて使ったそうです。

 

 

 

菜の花がとても綺麗でした。

雉も来ていました。

「農薬」の定義は難しいですが、ものすごい試行錯誤を9年間の間にやったんだ、とても印象に残りました。

納豆菌も培養して使っているそうです。

 本当に農業のやり方はそれぞれだと、つくづく思いました。

最終的には生産者の人柄そのものを信じて、感じて消費者は選ぶことしかできないと思います。

「私は野菜をこうして作っています。」それを何も隠さず、正直に伝えてくれることが、消費者にとって、信頼に足る姿勢だと思いました。

 

 

 

 

スナップエンドウ

可憐な花です。

「まじめにこつこつとやっていたら、いろんなことは後から付いてくる。出会いがいろんなことをもたらしてくれる」

友人のネットワークは広く、良い情報も悪い情報ももらえる。そうです。

「作業所でやぎを飼って、その乳製品を作って作業所の収支が成り立っているところもあるらしい。

そういうの、いいなと思います。

情報をもらってもやるかやらないかは本人次第。人とつながることで刺激がもらえます。」

 

最近、市内の大手ホテルとも契約が決まったそうです。また、保育園の園児さんも畑に来て農業体験をするそうです。畑の師匠と呼ばれているとか。

 

 

 

じゃがいも 

これから育ちます。

「アレルギーやアトピーで苦しんでいる子どもが多いと思う。それは本当にこの頃の話。やっぱり環境的におかしくなっているからこその病気でもあると思う。」

 

「子どもの食事がとても心配。ではどんな食事がいいか、いろいろ方法はあるけれど自分が考えるのは、食べて明日の元気につながる食事。さあ、食べて働くぞ、というような活力が出る食事です。そのためにうちのカラフルなトマトが役立ったり笑い声が絶えない食卓であることも大事な要素かな、と思います。」

 

 「子どもが元気に丈夫に育つことはどういうことか考えています。

今思っていることは、人の言葉に左右されない「芯」のようなものがあることが大事なのかな、と。

社会に出たら優しい人ばかりではない。人のせいにせずに、自分で考えて行動していけるたくましい人間にってほしい。勉強が出来るとか出来ないとかはそのあと付いてくると思う。

 体を作る食事は大きな役割を果たすと思っています。」

 

 

ちょっと風があった日なので

この中でお話しました。

たくさんの境遇や環境が違う人たちと一緒に作業しながら出た言葉だなあ、感じました。

私は正直、集団行動が苦手です。よく会社員をしてきて、会社も雇ってくれたなあ、と今更ながら思います。

子ども会への入会も断固拒絶しましたし。ホームシックの意味がよくわからん、というような暮らしをずっと続けてきました。多分、老後は体をメンテナンスしながら独り暮らしを満喫したいと考えるような人間です。

 

 たくさんの人とつながる、それは実はとても勇気のいる生き方だと思います。

人と関われば、その分大変なこと、面倒なこと、苦しいこともたくさん味わう機会が増えると思います。

私はその勇気が実は全然ありません。

でも日名子さんも奥さんも、めんどくさいこと、大変なことを承知でたくさんの人と積極的に関わっていこうとされています。そして、いろんな人の居場所を作り上げています。でも、ご本人たちもとても楽しみながら。

 

 

 

 

夢ではなく、目標を語ってくれる日名子さん。

あたたかいお父さんです。

 今は移転して新装開店準備中のYADOKARI CAFE。

たくさんのお母さんと子どもの「居場所」だったと思います。優子さんも香織さんも人との縁を大事にされながらいろんな人が集まる楽しい明るい場所だったんだなあ、と想像しています。

 日名子さんは「単なる、営業だけのカフェは意味がないんじゃないの、と思って。コミュニティを作ることが大事だと思う。」

 優子さんも、新しく新装開店するお店については

「今までのお母さんや子どもだけではなく、いろんな幅広い年齢層の人が集まる場所にしたい。自分達が楽しんでやっていることに、共感してくれるような人が集まる場所。それだけではなく、自分が年をとっても続けていけるようなお店にしたい。特に核家族化も進んでいるので、人とふれあって、経験や知恵を教えあったりしたい。私も教えてもらいたいし、そういうコミュニケーションが出来る人でありたい。」

 

 

お似合いの夫婦っているんだな、

としみじみ感じました。

日名子さんは、175ファームでとれた野菜をおいしい、新鮮なうちに調理してもらって、調味料なども選んでお惣菜として販売もしてもらいたい、1次から6次産業までやりたい、という野望、希望を持っていました。食品廃棄もなくなるし。

 実際作る奥さんは子育ても配達もしながら大変だなあ、と思いますがご夫婦の強みはやっぱり、いろんな人を つながっていること。きっと理想どうりの居場所を実現されるだろうな、と思いました。

 

 

にんじんの芽。

種も有機や在来種を大事にして

コタツで発芽させたりするとか。

さくら親父会のことはずっと前に地元のテレビ局の放送で紹介されていました。

スポーツ万能、成績優秀で地元の進学校にすすんでいた少年がいきなり病気のための障害で記憶障害やてんかんの発作に苦しみながら、生活習慣の記憶もなくなったので一からまた家族のサポートのもと努力している姿がありました。

「以前の自分の人生は終わって、僕はまた新しい人生を始めている」

という言葉にうまく説明は出来ませんがこころが動かされた覚えがあります。何か真似出来ないような、高潔さを感じました。

 

そんな人たちを具体的にサポートして一緒に同じ場所で働いている、という日名子さんご夫婦と香織さんに私はとてもお会いしてみたかった。

ものすごく忙しい時間を割いてお話してくださいました。

 

 

土が元気な畑です。

以前、深瀬雅子さんが同じ場所で同じ野菜を作っても、作る人によって全然味は違う。と言われていましたが最近それを実感しています。人柄が味に出る・・・。

 

175FARMのお野菜は口すると最初の印象は「やさしい味」です。

ご夫婦の、たくましさや強さを前面に出さない「やさしさ」を感じる味わいでした。